新たな飲食店のスタイルとして注目されるキッチンカーの始め方について考える際「どんな車種にするか」について悩む方も多いです。車種によっては大きさや外観、使い勝手や維持費などが大きく異なります。
そんな方には「軽トラック」ベースのキッチンカーをおすすめします。本記事では、軽トラックをベースにしたキッチンカー製作のメリットや注意点、おすすめの車種まで詳しく解説します。
キッチンカーは軽トラがおすすめな6つの理由
キッチンカーは軽トラがおすすめな理由として次の6つが挙げられます。
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それぞれの詳しい内容を解説します。
軽トラがおすすめな理由①体への負担が少ない
軽トラックをベースとしたキッチンカーは、キッチンスペースの高さが約1.8mという設計から、立ったままでの調理や接客が可能です。そのため、座っての調理作業に比べ、効率的に動きながら仕事を進めることができます。
その結果として、長時間にわたる調理や販売でも肩、腰、背中など体への負担を軽減できるのです。体への負担が少ないという観点からも、軽トラックをベースにしたキッチンカーをおすすめします。
軽トラがおすすめな理由②2人作業で効率的に商品を提供できる
軽バンやウォークスルーバンを利用したキッチンカーの場合、車内のスペースが限られ、基本的にキッチン部で作業できるのは1人のみという制約があります。そのため、2人で作業する場合でも、1人は外のスペースで呼び込みなどを行うことになります。
しかし、軽トラックを改装したキッチンカーであれば、広い作業スペースを確保できます。その結果として、大人2人が同時に作業できるだけのスペースを得ることが可能です。これにより、1人での作業に比べて圧倒的に効率を上げることできます。
軽トラがおすすめな理由③小回りが利き運転しやすい
軽トラックサイズのキッチンカーは、その小さな車両サイズとコンパクトさから小回りが利き、運転しやすいのが特徴です。都市部のオフィス街や路地裏など駐車スペースが限られた場所でも問題なく出店できます。
また、商店街の空きスペースや店先など「軽自動車のみ可能」という出店条件がある場合でも、その条件をクリアすることが可能です。さらに、車両が小さいため洗車がしやすいというメリットもあります。
軽トラがおすすめな理由④維持費用を安く抑えられる
軽トラックは軽自動車に分類され、多くの経済的な利点があります。維持費用に関しては、車両維持にかかる費用を抑えられます。
例えば、自動車税は年間4,000円、重量税は2年に一度の8,200円、自賠責保険は26,370円、車検代は約60,000円、任意保険は約50,000円で、さらにガソリン費用は約60,000円(120円/ℓ・燃費22km/ℓ・年間1万キロ走行)となります。
場合によって内訳は変わるものの、年間で約20万円程度とリーズナブルです。月額換算すれば16,000〜18,000円程度に収まるため、維持費の安さは大きな魅力といえます。
また、キッチンカーなどで出店する際の移動費についての考慮も必要です。特に、拠点から遠い場所へ出店する際は、交通費が大きな負担となります。
なお、軽トラックなら高速道路料金が抑えられるだけでなく、燃料代も削減できます。総合的に見ても軽トラックの維持費は魅力であり、様々な用途においておすすめできる選択肢です。
軽トラがおすすめな理由⑤狭い場所でも出店できる
そのコンパクトさと小回りの利きやすさも軽トラックの特徴です。路地裏やオフィス街などの狭い場所でも、問題なく対応できます。
さらに、商店街の空きスペースや店先などに出店する際「軽自動車のみ可能」という出店条件がある場合もありますが、軽トラックならそのような条件付きの場所や狭い場所でも機会を逃さず出店可能です。
軽トラがおすすめな理由⑥親近感を持って接客できる
キッチンカーの多くは「1.0t普通車トラック」や「1.5t普通車トラック」といった大型車両が使用されます。しかし、大型車両をベースにしたキッチンカーでは車高の関係で、注文時や商品の受け渡し時にどうしてもお客様を見下ろす形となります。
一方、軽トラックを使用したキッチンカーでは、そのコンパクトなサイズ感から来る目線の高さがお客様と近く、親近感を持って接客することが可能です。
キッチンカーに軽トラを利用する際の注意点は3つ
1.8ナンバーになると普通車として扱われる
軽トラックサイズを改装し、構造変更によって8ナンバーとなると、普通車としての取り扱いに変わります。これにより、自動車税は普通車として課されるため、元の軽トラックそのものの税金よりも支払い金額が増加します。
さらに、高速料金については中型車両の料金が適用されるため、注意が必要です。ネット上では、軽トラックサイズのキッチンカーは軽自動車として税金が安いと誤った情報が発信されることがあります。これらの誤情報に惑わされないよう、確かな情報に基づいた情報を選択することが大切です。
参考:番変・構変
2.積載できる食材の量が少ない
軽トラックのキッチンカーは、車両サイズやキッチンスペースの大きさが普通車のキッチンカーと比べて小さく、積載できる食材の量が限られます。その結果として、大規模なイベントや多くの来客が見込まれる場所での出店時は材料が切れてしまい、売り上げの機会を失うケースも少なくありません。
このような問題に対処するためにも、食材を運搬する追加の車両の準備などが必要となることを理解しておきましょう。
3.構造変更をしていないと車検ごとに手間と時間がかかる
軽トラックをベースに改装したキッチンカーは、荷台部分に専用のキッチンスペースを搭載しています。キッチンカーには構造変更によって「8ナンバーへの変更を完了した車両」と「完了していない車両」の2種類が存在します。
前者のタイプは、既に構造変更が終わっているため、そのままキッチンカーとして車検を受けられます。一方、後者の場合は車検ごとにキッチンスペースを車から降ろす手間と時間が必要になります。
特別な設備を持たない場合、車検ごとにキッチンスペースを降ろす作業は現実的ではありません。そのため、利便性を考慮すると構造変更と8ナンバーへの変更が完了した車両を選択するのがおすすめです。
キッチンカーにおすすめの軽トラック3選
キッチンカーにおすすめの軽トラックとして次の3車種が挙げられます。
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それぞれの特徴についてみていきましょう。
おすすめの軽トラック①スズキ「キャリイ」
スズキが1961年から製造・販売している軽トラック「キャリイ」は他の軽トラックに比べてパワーに優れ、キッチンカーに必要な設備を多く積載してもスムーズに運転が可能です。
この点はキャリイをベースに様々な仕様のキッチンカーが製作されている一因となっており、最適なカスタムが見つけられる可能性が高いです。
また、新車の価格相場は「約75万〜144万円」、中古車の場合は「約20万〜140万円」が相場であり、予算に合わせやすい点も特徴といえます。
おすすめの軽トラック②日産「NT100クリッパートラック」
日産「NT100クリッパートラック」は、スズキからのOEM供給を受けて販売されている軽トラックで、同種のキャリイとは大きな違いはありません。ただし、豊富なカスタムオプションが用意されていることから、キッチンカーのベースとして多く利用されています。
中古車市場においても、さまざまな仕様のキッチンカーが出回っており、多彩な選択肢から選ぶことが可能です。車両価格は、新車の場合で「約84万〜130万円」、中古車の場合は「約20万〜100万円」が相場といえます。使い勝手と価格のバランスからもおすすめの1台です。
おすすめの軽トラック③ダイハツ「ハイゼットトラック」
1960年にダイハツが製造・販売を開始した「ハイゼットトラック」は、軽トラックの中でもおすすめの1台です。白や黒が一般的な軽トラックの中で全7色から選べるハイゼットトラックなら、赤やカーキといった色を選んで、個性を主張することも可能です。
価格相場としては、新車で「90万〜145万円」、中古車の場合で「約20万〜150万円」0,000円となっており、手に入れやすい価格設定も魅力の1つです。
軽トラックのキッチンカーの購入する際の予算目安
ここでは、軽トラックのキッチンカーの購入する際の予算目安を方法ごとに解説します。
キッチンカー製作会社で購入する場合
キッチンカーの製作会社で購入する際、その価格帯は軽トラックサイズで「約250万~400万円」となります。この価格帯はキッチンの製作と組み付けを含むトータルコストであり、トラックを個別に購入してキッチンを製作する場合と比べても大きな差はありません。
さらに、保健所への申請サポートや営業許可の取得、営業のフォローといったアフターサービスが充実しているのも特徴です。飲食業未経験者でもキッチンカーの開業手続きを安心して進められます。
中古キッチンカーを購入する場合
中古キッチンカーの購入は、普通の車を購入するのと同じように、中古車が市場で取引されています。中古キッチンカーの価格は一般的に軽トラサイズのもので「約20万〜400万円」と幅広く、その価格は車両の程度(年式や走行距離など)、車両の色(塗装)、厨房設備の充実度などによって大きく変動します。
ただし、中古キッチンカーの購入にあたっては注意が必要です。なぜなら、車両自体の価値だけでなく、厨房設備の目利きも求められるからです。
これらを正確に把握しきれない場合、修繕費などを考慮すると結果的に高い買い物となる可能性もあります。中古キッチンカーの購入を検討する際は、細かな情報まで確認するようにしましょう。
トラックとキッチンを別々で購入する場合
トラック購入とキッチン製作は、それぞれ別々に行うことが可能です。トラックの価格は新車と中古車で変わり、一般的に新車で100万円以上、中古車では20万円以上から購入できます。ただし、中古の軽トラックで安価なものは車両の状態が悪い可能性もあるので注意が必要です。
一方、キッチン部分の製作や組付けは内容によるものの「約200万〜300万円」のコストがかかります。そのため、トラックの購入とキッチン部分の製作を合わせ「約300万〜400万円」の予算を用意しておくことをおすすめします。
中古キッチンカーを購入する際の注意点は4つ
中古キッチンカーを購入する際の注意点として次に4つが挙げられます。
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それぞれの詳しい内容を解説します。
1.年式に比べて走行距離が極端に少なくないか
年式に比べて走行距離が極端に少ないにも関わらず価格が安い場合は、車両の状態に何らかの問題がある可能性はあります。また、メーターが書き換えられているケースも考えられます。
これは軽トラックに限らず、すべての車両に当てはまる考え方です。そのため、車検証の走行距離計表示値を確認し、前回・前々回の車検時の走行距離と比較して不整合が無いかを必ずチェックしましょう。
2.出店予定のエリアに適したタンク容量であるか
キッチンカーの運営には、車内に設置される給水タンクと排水タンクの容量に注意が必要です。中古キッチンカーを購入する際もタンクの積載量に配慮する必要があります。
なぜなら、提供するメニューや出店を予定している地域によって、必要とされるタンクの積載量や規定が異なり、それによって営業許可が得られるかどうかが決まるからです。もし、適切なタンク容量を満たさない場合は保健所の審査を通過できず、タンク交換が必要になるケースもあります。
交換となると多くの時間と費用を要するため、キッチンカーを購入する前に出店予定のエリアの自治体でタンクの容量規定を確認することをおすすめします。
3.車高制限に関する法令を順守しているか
軽トラックの車高制限は現在の規格で「高さ2,000mm以下」と定められています。また、荷台に載せられる物の高さは「2,500mmまで」です。これを超過すると罰金などのペナルティを受ける可能性があります。
個人が改装した車両やキッチンカーは、これらの規定を無視したものも存在するため、購入の際はカスタムの内容に注意が必要です。特に、個人間での売買は避けたほうが良いでしょう。
また、キッチン部を溶接で固定していないと、キッチン部が「荷物」として扱われてしまい、車検のたびに取り外す必要が出てくるので注意が必要です。
4.キッチンスペースと荷台を溶接ができいるか
キッチンスペースと荷台を溶接せず「キッチンスペースを軽自動車に荷物として載せる」スタイルのキッチンカーには注意が必要です。これは違法ではありませんが、キッチンスペースは荷物として扱われるため、車検の際には外す必要があります。
また、キッチンスペースと車両の固定方法、そしてキッチンスペース内部の冷蔵庫や作業台、シンクセットの固定方法が工具を使わずに解体できないものは違法になる可能性があります
一方、キッチンを荷台に溶接して固定し、車の種類を軽自動車から「特殊用途自動車」へと変更することも可能です。これは「8ナンバー」とも呼ばれ、そのままの状態で車検を受けることができます。
ただし、軽トラックから普通トラックに変わると自動車保険料は少し上がります。そのため、中古車を購入する際は車両自体の価格だけでなく、購入後の維持費や手間を確認することが大切です。
キッチンカー製作会社で購入する場合の注意点は3つ
キッチンカー製作会社で購入する場合の注意点は次の3つです。
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それぞれの詳しい内容をみていきましょう。
1.豊富な製作実績があるか
キッチンカーの製作は一般的な車両製造とは異なり、食事の提供などに適した形に改造する特別な工程が必要となります。
その過程で、交通法規や食品衛生に関する法規など、さまざまな法規制を遵守しなければなりません。これらの知識がないと、法的な問題に見舞われるリスクがあります。
そこで重要となるのが製作会社の製作実績です。製作実績が豊富な会社を選ぶことで、法規制に適合した形のキッチンカーが確実に製作され、法的な問題をクリアできます。
つまり、製作実績は、その会社が法規制に対応できる能力と経験を持っている証拠ともいえるでしょう。そのため、キッチンカー製作会社を選ぶ際には、その会社が過去にどれだけの実績を積み重ねてきたかを確認することが大切です。
2.明朗な料金設定であるか
明朗な料金設定は、製作会社を選ぶ際の重要な要素です。もし、費用の提示が曖昧であれば、後から思わぬ追加料金がかかる可能性があります。
思わぬ経済的負担を回避するためにも、初めから料金がきちんと決められている製作会社を選ぶことが大切です。
3.ある程度柔軟に対応してくれるか
製作会社にすべてを任せてしまうと、自分が思い描いたイメージとは異なるキッチンカーとなる可能性があります。そのため、デザインや設備などの具体的な要素について、事前に製作会社と詳しく打ち合わせを行うことが大切です。
打ち合わせの際には、自分の意見や要望をきちんと伝え、製作会社が取り入れてくれるかどうかを確認する必要があります。柔軟な対応をしてくれる製作会社を選び、理想のキッチンカーを手に入れましょう。
キッチンカーの軽トラでよくある3つの質問
ここでは、キッチンカーの軽トラでよくある質問についてそれぞれ回答します。
質問①軽トラキッチンカーはレンタルも可能?
キッチンカーは新車・中古車の購入だけでなく、レンタルという選択肢もあります。
特に、月に数回のみの営業を予定している方や移動販売を始めたばかりの方におすすめです。レンタルを利用すれば、必要な設備が全て搭載された状態で提供されるため、すぐに営業を開始できます。
また、レンタル期間も数か月以上の長期から、1日単位の短期まで幅広く選択できます。準備が簡単なだけでなく、低コストで利用できるため、開業の初期投資を抑えたい方に適した選択肢ともいえます。
質問②ウォークスルーバンとは何ですか?
ウォークスルーバンとは、運転席と荷台が一体となった軽自動車を指します。キッチンカーとして利用するには、保健所の営業許可を取得するために運転席と荷台を壁で仕切る必要があります。
また、1980年代に製造が盛んになったウォークスルーバンですが、流通している車両は年式が古いものが多い傾向にあります。そのため、新しい車に比べてメンテナンス費用が嵩むケースもあり、購入に際しては十分な注意が必要です。
軽自動車の中でもウォークスルーバンは車両価格は安価な傾向にありますが、維持管理の観点から長期的に見ると損をする可能性もあります。
質問③軽トラでキッチンカーを出店するために必要なスペースは?
キッチンカーの出店には、軽トラ1台分のスペースが必要です。その専有面積は車種によって異なりますが、通常「長さは3.40m以下」「幅は1.48m以下」「高さは2.00m以下」とされています。
しかし、キッチン部分が2mを超えている場合もあるため、その場合は高さが2.5mでも通行可能なスペースが必要です。これらの寸法を確保することで、キッチンカーの出店をスムーズに進めることが可能となります。
まとめ
軽トラックサイズのキッチンカーは、小回りが利くなどの効率性と低コストが魅力的で、2人同時に乗車できるスペースがあり、高さも1,800mmと成人男性が使っても狭く感じることはありません。
しかし、税金や高速料金が普通車と同じく必要になるため、これらのコストには留意が必要です。新車や中古車の購入、自作、レンタルなど様々な方法で入手可能です。
なお、自身が理想とするキッチンカーを製作するには、まず信頼できるキッチンカー製作会社を見つけることが重要になります。「キッチンカー&デリ」では、キッチンカーのオーダー製作も可能です。
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